障がい者雇用でぶつかる「任せる仕事がない問題」を解決する方法
こんにちは。サンクスラボ株式会社 サテライトラボ担当の久米川です。
障がい者雇用の現場では、社員に適切な業務を与えられず、勤務時間の多くを「待機」で過ごさざるを得ない状況が発生していることが問題になっています。たしかに、多種多様な障がい特性に合った業務を創出することは、簡単ではありません。
また、職場環境の整備や、支援体制を構築することも求められており、頭を悩まされている人事担当者の方も少なくないのではないでしょうか。
当社にも、
「どの部署に配属したらいいのか」
「どんな業務内容を任せたらいいのか」
といったご相談が多く寄せられています。
この課題を解決するためには、まず自社の「業務の切り出し」が出発点になります。上手に業務が切り出せられれば、それを元にして障がい者の特性や能力にあった業務を任せることができ、雇用後の定着につながっていきます。
では、「業務の切り出し」はどのように取り組めばよいのでしょうか?具体例をあげながら解説していきたいと思います。

1.業務の切り出し方とは?
業務には、大きく分けて、
- 1)誰が行っても同じ成果のでる業務
- 2)専門性や経験によって質が変わる業務
の2つがあります。
もし、あなたが障害者雇用の経験がない企業担当者の場合、まず「誰が行っても同じ成果のでる業務」の切り出しから取り組んでいくことをおすすめします。
その際の観点として、次の3つを意識されると良いでしょう。
- ・期限(納期)に余裕がある
- ・業務フローが確立している
- ・報告や連絡があまり必要ない
これら3つの観点にあてはまる具体例としては、
- ・データ入力
- ・配布資料のセッティング
- ・情報収集、リサーチ
- ・文章の校正
- ・書類のファイリング
- ・資料の発送
- ・電話の取次
などがあげられます。
一方、「専門性や経験によって質が変わる業務」であっても、障がい者社員向けの業務として切り出すことは可能です。
業務を外部に委託しようとすると、工程や判断基準などをチャート化することによって、業務全体から外注する部分を抽出したり、人力・手作業で行っていた業務をフロー化すると思います。その過程が障害者雇用の業務の切り出しにもそのまま応用できます。
実際に、すでに外部委託している業務、派遣社員の方が行っている業務を再確認し、一覧にしてシートにまとめてみましょう。
具体例として、ある企業の営業部門に、以下の業務があるとします。
- ・顧客管理
- ・資料送付
- ・アポイント獲得
- ・提案書類の作成
- ・商品の提案
- ・見積り書の作成
- ・契約書作成
- ・請求書作成
上記の業務のうち「顧客管理」の業務を作業レベルで分解してみます。
- 1)名刺の管理
- 2)管理シートの作成
- 3)管理シートのファイリング
- 4)管理システムへの入力作業
- 5)管理システムの更新作業
このように業務を細分化することで、障害者が取り組みやすい作業が見えやすくなります。
つまり、人事部や総務部のような間接部門だけでなく、専門的な部署や高度な業務内容であっても業務を切り出せる可能性は十分あります。部門長や現場責任者の理解と協力を得ながら、進めていきましょう。
2.切り出した業務をマニュアル化する
業務の切り出しが終わったら、それぞれの業務の流れや、難易度・所要時間・判断基準なども詳しくみていき、一覧にしていきます。それを素材として、業務マニュアルを作成しましょう。マニュアルがあることで、判断に迷わず効率的に業務を進めることができるようになります。
作成する際の具体的な項目としては、
- ・業務名
- ・概要
- ・作業時間
- ・発生頻度
- ・分量
- ・納期
- ・専門知識の要不要
- ・判断基準
などがあげられます。
これらを一覧にして整理し、優先順位をつけていきます。
作成後は、実際に運用しながら、業務量が適正か、一定の頻度で業務が発生するかなど、検討を重ねましょう。
そして、マニュアルが常に最新の状態になるよう、定期的に更新していきます。マニュアル作成は、障害者雇用の準備という範疇に留まらず、社内の業務全体を見直す契機になります。
3.業務支援のポイント
どんなに詳細なマニュアルを作ったとしても、業務を進める中で不明点は必ず出てくると思います。その際、障がいをもった雇用者の方が、誰に相談すればいいのかを明確にしておく必要があります。
特に、複数の部署に業務の切り出しを行った場合、個々の部署の中で相談を受けていると、マニュアルや支援体制の課題も共有されづらく、効率が悪くなってしまいます。切り出した業務を集約する窓口や担当者は、部署を超えて一本化しましょう。
4.まとめ
業務の切り出しにしっかりと取り組めば、まずどういう人材が必要か明確になり、採用活動におけるミスマッチを防ぐことができます。そして、明確なマニュアルと支援体制によって働きがいを感じることができ、企業への定着につながっていきます。
取り組みたくてもできていなかった業務や、残業によって対応していた業務も任せられる可能性があり、企業の生産性向上も期待できます。「何なら任せられるのか」という観点で業務内容を精査していただければと思います。
また、複数の部署と共同で業務切り出し行っていく場合は、現場の方々の理解と協力が不可欠です。まずは、障がい者雇用の目的・メリットを理解してもらい、ともに働くイメージをもってもらうための研修や発信を丁寧に行っていきましょう。
もし、自社だけで障がい者雇用に取り組むのは難しいと感じられた場合は、弊社のように障がい者雇用パッケージサービスを行っている会社や、支援機関をうまく活用してみてください。
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