療育手帳とは?そのメリット・デメリットについて
障害者雇用において、実雇用率の算定対象となるのは、障害者手帳の所有者となります。2018年に発覚した障害者雇用水増し問題をきっかけに、手帳取得が基準になることがあらためて示されました。今回は、障害者手帳の中でも、知的障害のある方に発行される療育手帳についてまとめました。

1.療育手帳とは?
障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3つがあります。療育手帳とは、障害者手帳のひとつで、主に知的障害のある人を対象にしたものです。療育手帳は法律に基づいて作られた制度ではなく、各地方自治体によって設けられている制度です。よって、自治体ごとに取得できる基準や、受けられるサービスの内容が異なっています。
・対象になる方
各都道府県・政令指定都市の自治体によって、取得できる基準は異なるのですが、判定の目安としては以下が挙げられます。
- ・おおむね18歳以前に知的機能障害が認められ、それが持続している
- ・標準化された知的検査によって測定された知能指数(IQ)が75または70以下(各自治体によって数値が異なることもある)
- ・日常生活に支障が生じているため、医療、福祉、教育、職業面で特別の援助を必要とする
療育手帳を取得する人は、子どもの頃に知的障害があることがわかった方が多いです。子どもの頃に取得してなくても、成長するにつれ、日常生活に大きく支障が出たり、支援を受ける必要ができた場合、大人になってからでも取得できます。
しかし、大人になってから事故などで知的機能に障害が出た場合は知的障害には含まれません。知的障害は「おおむね18歳未満の発達期に生じるもの」と定義されています。自治体によっては、発達障害の診断を受けた人で、療育や支援が必要な人に療育手帳を交付しているケースもあります。
・等級について
障害の程度によって等級区分がわけられています。基本的には重度「A」と重度以外の中軽度「B」の2つの区分がありますが、各自治体によって等級のわけ方や受けられるサービスの適用範囲も違います。
2.療育手帳のメリット
療育手帳を取得していることで、支援を受けやすくなり、さまざまな支援やサービスの幅が広がることがメリットです。ここでは主に大人が利用できる支援制度を中心に紹介します。
- ・就労支援
療育手帳を持っていると、障害者雇用枠や特例子会社で就職が可能になります。
特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの助成もあり、企業側としても入社を前向きに考えてくれやすくなります。 - ・生活上の支援
外出などの日常でのサポート、訓練などの福祉サービスなどを受けることができます。
公共交通機関や、施設利用料金の割引や減免を行っている自治体もあるようです。 - ・経済的な支援
所得税や住民税等の障害者控除など、税制上の優遇措置を受けることができます。また、手当金が支給されることも自治体によってはあります。
3.デメリットはあるのか?
療育手帳のデメリットは、主に精神的な部分になります。知的障害であるというレッテルを貼られることが、自尊心に影響する可能性があります。
ただ、療育手帳は知的障害があるからといって、必ず取得しなければいけないということはありません。取得しても必要がなくなったら手帳を返納することもできます。 申請し、取得するかどうかは、受けたい支援やサービスがあるかなど、それぞれの状況によって考えれば問題ありません。
4.まとめ
療育手帳は知的障害のある人にとって、支援を受けるだけではなく、障害のある人も社会の一員であることが認識できる制度です。デメリットも挙げましたが、これから障害者が就労などで活躍するためにも必要なシステムです。
自治体ごとに違う制度のため、住んでいる地域によって受けられる支援や対象が違うなど、課題も多く残っています。今後、当事者目線に立った制度改変が求められます。
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