【法定雇用率】2.3%アップは2021年1月1日か?


障害者雇用の法定雇用率の引き上げが、2021(令和3)年1月1日に行われるかもしれないのはご存知ですか?


民間企業における現在の法定雇用率は2.2%ですが、もともと2021(令和3)年3月末までに2.3%に引き上げられることが決まっていました。今年も8月に入り、引き上げ実施日の決定について、大詰めの段階となっています。


その中で、2021(令和3)年1月1日から2.3%に引き上げられることが有力となっています。つまり、現在「従業員45.5人以上」の事業主が対象ですが、「従業員43.5人以上」の事業主に範囲が広がります。


今回は、2.3%の引き上げ時期についてどのように議論されているかをまとめました。


参考:厚生労働省「第97回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)」





1.なぜ「2021(令和3)年1月1日」なのか?


法定雇用率が、2018(平成30)年4月に2.2%に引き上げられた際は、2.3%の引き上げは「3年以内に」ということで具体的な実施日は不透明でした。ただ、前回の2.2%の引き上げも4月だったことから、今回もそのタイミングで引き上げられる想定を持っていた方も多いのではないでしょうか?


「1月1日」となると想定から3か月早まることとなり、雇用不足数を抱えていたり、引き上げによって不足してしまう企業にとっては、対応を早める必要がでてきます。


なぜ、今回1月1日引き上げ実施が厚生労働省の案として示されているかというと、法定雇用率未達成企業が立てる雇入れ計画の開始日が1月1日なので、サイクルが同じでわかりやすいことが主な理由と考えられます。新たに計画を作成する企業にとって、期間の中途で法定雇用率が増加することは、計画がいささか複雑になってしまいまが、1月1日開始ならそういった懸念がありません。すでに計画を実施している企業においても、計画実施のサイクルに合致しており、管理がしやすくなります。



2.雇用数の上昇や雇用促進の取り組みが背景にある


雇入れ計画とのタイミングだけでなく、厚生労働省は障害者雇用を促進させるために各種の取り組みを行っており、障害者雇用を細やかにサポートしていく体制が整備されつつあることも背景にあります。


例えば、


①雇用ゼロ企業に対してハローワークを中心に障害者雇用推進チームを結成


「就職支援コーディネーター」が企業に訪問し、 企業ごとのニーズに合わせた支援計画を作成し、採用準備段階から採用後の定着支援まで一貫して企業の障害者雇用を支援。


②ハローワークに精神障害者雇用トータルサポーター等を配置


求職者本人に対するカウンセリングや就職に向けた準備プログラムを実施するとともに、事業主に対して、精神障害者等の雇用に係る課題解決のための相談援助等の業務を実施。


③障害者の職場適応を容易にするため、ジョブコーチが職場を訪問


障害者に対する職務の遂行や職場内のコミュニケーションに関する支援をしたり、事業主や同僚などに対する職務や職場環境の改善の助言を実施。


④ハローワークで精神・発達障害者しごとサポーター養成講座の実施


一般の従業員を主な対象とし、精神障害、発達障害に関して正しい理解を促し、職場での応援者(精神・発達障害者しごとサポーター)となる講座を平成29年秋から実施し、精神障害者等が働きやすい職場づくりを促進。


などに取り組んでいます。


実際に、実雇用数や雇用障害者数は16年連続で過去最高を更新し続けています。厚生労働省としては、このようなデータや取り組みの実績をもとに、「2021(令和3)年1月1日」案を推進していくと思われます。



3.新型コロナウイルスの影響は?


法定雇用率について議論している、「労働政策審議会 障害者雇用分科会」では、使用者代表から、新型コロナウイルスが及ぼす影響が把握できるまで判断を先延ばしするべきという意見が出ています。


一方、公益代表、労働者代表、障害者代表においては、1月1日引き上げの厚生労働省案を了承しています(本年3月30日時点)。直近で行われた7月31日の分科会では、厚生労働省側から改めて1月1日引き上げ案が示されましたが、第2波とよばれる状況下でもあり、判断が延長される可能性もゼロではありません。



4.まとめ


「2021年3月末までに2.3%の引き上げる」ことは政令で定められたことであり、あらためて7月31日にも、「2021(令和3)年1月1日」案が示されました。コロナ渦によって引き上げ時期がどうなるか情勢は不透明ですが、どちらにせよ企業としては今後2.3%引き上げに対応しなければならないことに変わりはありません。


ということは、障害者雇用の対応が後手に回らぬよう、「2021(令和3)年1月1日」に照準をあわせて取り組んだ方が望ましいでしょう。情報収集から決済まで数か月かかることを考えると、できるだけ早めに具体的な検討を進めておいた方が安心かと思われます。


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