【障害者トライアル雇用】制度内容とメリット・デメリットを解説

障害者トライアル雇用制度はご存知でしょうか?
企業側は、障害者を雇用したくても、書類審査や面接のみだと、実際にどれくらい業務がこなせるか、体調はどうか、対人コミュニケーションが問題ないかなど、さまざまな不安要素が拭えません。一方、障害者側も同じように、業務や職場の人間関係を問題なくやっていけるか、働くまでは不安が募ります。そのような双方の悩みを解決できるのが障害者トライアル雇用制度です。
今回は、制度の内容やどのようなメリット・デメリットがあるかについてまとめました。

障害者トライアル雇用のイメージ

1.障害者トライアル雇用制度とは

■目的 継続雇用のきっかけとなるように助成を行う

障害者トライアル雇用求人を事前にハローワークや民間の職業紹介業者に提出し、これらの紹介によって、対象者を原則3か月の有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした場合、助成金(月額4万円)を受けることができます。本採用を前提としているため、トライアル終了後の継続とした就職率は高く(約8割)継続雇用をのきっかけとなることを目的とした制度になります。
試験雇用することで、企業側は職場での適性や能力を見極めることができます。障害者側も現場の雰囲気や業務に慣れることで採用後に安定した状態で継続雇用を得ることが可能です。

■対象の労働者

次の(1)と(2)の両方に該当する者であること

  1. (1)継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、
       障害者トライアル雇用制度を理解し、雇入れについて希望している者

  2. (2)障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、
       次のア~エのいずれかに該当する者
       ア 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
       イ 紹介日前2年以内に、2回以上離職や転職経験がある者
       ウ 紹介日前において離職している期間が6カ月を超えている者
       エ 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
    (重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者は
    ア~ウを満たしていなくても対象となる)

■企業側の申請~受給の流れ

  1. ①求人申し込み
    ハローワーク等に障害者トライアル雇用求人を申し込み

  2. ②面接選考 
    紹介を受けた求職者を面接選考し雇用開始

  3. ③実施計画書の作成
    求職者と継続雇用移行要件を確認し、実施計画書を作成

  4. ④実施計画書の提出
     開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書を提出。
     雇用契約書など労働条件が確認できる書類を添付

  5. ⑤支給申請書の提出
     雇用終了日の翌日から2か月以内に、 ハローワークまたは労働局に支給申請書を提出

■注意点

  • ・申請期限を過ぎると助成金を受給できなくなる
  • ・求人数を超えた障害者トライアル雇用は不可
  • ・障害者トライアル雇用対象者の選考は、書類ではなく面接で行うこと
  • ・トライアル雇用の途中で継続雇用へ移行した場合や自己都合で離職した場合、支給申請  期間が変わるので速やかにハローワークに連絡
  • ・受給額は、出勤する予定日が分母、出勤した日が分子となり、その比率によって変わる
    • 75%以上4万円
    • 50~75%未満 3万円
    • 25~50%未満 2万円
    • 25%未満   1万円
  • ・途中で、事業主の理由で退職させてしまう場合は支給対象外。
     本人の自己都合であれば問題ない。
  • ・トライアル雇用期間が終わった時点で、契約満了で問題ない。報告も不要。

2. 精神障害者に対する助成額、支給期間が拡充

2018年4月より、精神障害者を雇用する場合は、

  • ・最初の3か月  月額8万円
  • ・その後の3か月 月額4万円

の最長6か月に、助成の内容が拡充されました。
人数制限はなく、過去に精神障害者の雇用歴があっても対象となります。
(以前は、「初めて精神障害者を雇用する場合」に限定されていましたが、
 条件が緩和されました。)

助成額は最大12万円から36万円で3倍、支給期間は3か月から6か月で2倍となっています。雇用契約書には、試用期間6ヶ月として問題ありません。試用期間を12か月まで延長しても構いませんが、支給額は変わらず最大36万円となります。
なお、重度身体障害者、重度知的障害者を雇用する場合は、これまでどおり月額最大4万円(最長3か月)です。

3.「障害者短時間トライアル雇用」制度

精神障害者または発達障害者で、週20時間以上の就業時間での勤務が難しい人を雇用する場合、 週10以上20時間未満の短時間の試行雇用から開始し、職場への適応状況や体調などに応じて、 トライアル雇用期間中に20時間以上の就労を目指す「障害者短時間トライアル雇用」制度もあります。

■対象の労働者

継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者

■雇入れの条件

対象労働者を次の(1)と(2)の条件によって雇い入れること

  1. (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  2. (2)3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること

■助成金の支給額

対象者1人当たり、月額最大4万円(最長12か月間)

4.企業側のメリット・デメリット

企業側のメリットとしては、

  • ・労働者が現場でしっかり働けているかの適性を確認することができる
  • ・適性を確認することで障害雇用で抱えている不安を取り除くことができる
  • ・業務のミスマッチを早期に発見できる
  • ・助成金によって雇用にかかるコストを抑制できる

デメリットとしては、

  • ・就業にブランクがある方が多いため、現場での仕事に慣れさせるまでに時間がかかる
  • ・助成金を受給するまでの手続きに労力が必要

などがあげられます。特に、精神障害者は離職率が高い傾向にあるので、障害者雇用に二の足を踏んでいる企業にとっては、低リスクで導入することができます。

5.障害者側のメリット・デメリット

障害者側のメリットとしては、

  • ・トライアル期間中に職場の雰囲気が自分に合っているかを確かめることができる
  • ・長期的に働くにあたって仕事の内容が自分に合った内容なのか確かめることができる

デメリットとしては、

  • ・トライアル期間以降も必ずしも契約ができるとは限らない

があります。
長期で働きたい意思があっても、企業側が適性がないと判断した場合はトライアル期間で終了してしまうということもあります。

6.まとめ

トライアル雇用期間後、継続雇用となれば特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)、障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金)についても申請可能となっており、要件に問題なければぜひとも活用したいところです。障害者トライアル雇用はまだ制度ができて新しく、行政としても制度を周知していきたい思いがあります。

企業や障害者としても、障害者雇用における不安を軽減することができるので、デメリットよりメリットが大きく上回るのではないでしょうか。特に精神障害者は助成額・期間が拡充され、サポートが手厚くなっています。積極的な制度の活用によって、長期的な雇用関係に発展し、障害者雇用の促進が図られることが望まれます。ぜひ一度、制度利用を検討してみてはいかがでしょうか?

■参考

障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース |厚生労働省
障害者トライアル雇用事業実施要領

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